飲食店
2024年07月07日

クレンリネスとは?飲食店で対策が必要な理由や実践するときのポイントを解説

飲食業において重要なのは、清潔感です。店内のあらゆる箇所が清潔でなければ、顧客が安心して入店しにくいほか、最悪の場合は食中毒などの健康被害を引き起こすリスクもあります。このようなリスクを抑えるための施策として注目されているのが「クレンリネス」です。

この記事では、クレンリネスとは何かについて、飲食店で対策が必要な理由とあわせて解説します。また、クレンリネスを実践するときのポイントもご紹介します。

クレンリネスとは何か

クレンリネス(Cleanliness)とは、英語で「清潔」という意味を持つ言葉です。飲食業においては、店舗が衛生的で清潔な状態を保つための作業のことを、総称してクレンリネスと呼んでいます。

クレンリネスを行う目的は、食に関するあらゆるリスクを排除して、顧客の動員を促進することです。詳しくは後述しますが、飲食店は国際的な衛生規格「HACCP」に適合するよう義務化されているため、飲食業にかかわるすべての店舗や工場は、クレンリネスを強く意識しなければなりません。

クレンリネスとクリンネスの違い

クレンリネスとよく似た言葉に「クリンネス(Cleanness)」があります。これは英語で「清浄」「清浄度」を表す言葉です。クレンリネスは清潔な状態を保つための作業を指しますが、クリンネスは清潔である状態そのものを指しており、それぞれの意味は異なります。

クレンリネスが飲食業界で必須な理由

飲食業界においてクレンリネスが必須な理由は、以下の3つです。とくに2020年6月の法改正がターニングポイントとなり、クレンリネスの実践や強化に向けた取り組みを進める飲食店が増えています。

<クレンリネスが飲食業界で必須な理由>

  • 法律によって義務化されているため
  • 顧客の入店率を高めるため
  • 顧客の健康被害を抑えるため

法律によって義務化されているため

2020年6月に食品衛生法の法改正が行われ、食品等事業者は国際的な衛生規格「HACCP」に沿った衛生管理が必要になりました。2021年6月にHACCPの導入と運用がはじまり、2024年現在は完全に義務化されています。

HACCPを導入しなかった場合、都道府県が定める条例により罰則を受ける場合があるほか、営業許可の更新が認められない可能性もあります。このため、すべての飲食店にとってクレンリネスの実践や強化が必須です。

顧客の入店率を高めるため

店内の内装が清潔な状態ならば、顧客は安心して入店してオーダーできます。滞在中に清潔で安心できるイメージを与えられれば、リピート率も高められるでしょう。反対に、料理自体に興味を持っていたとしても、衛生面で問題がありそうなお店だと判断した段階で敬遠する顧客は多いです。

顧客の健康被害を抑えるため

顧客の健康を守るためにもクレンリネスが必要です。クレンリネスを怠ると、食中毒や異物混入などのトラブルが起こる場合があります。

食品衛生法違反とみなされると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に科せられる可能性があるため注意しましょう。また、ニュースで報道されたり、SNSで拡散されたりすると、閉店に追い込まれる恐れもあります。

今すぐにできるクレンリネスの基本的な対策

クレンリネスの基本的な対策は、以下の5つです。ちょっとした工夫でお店の衛生環境は向上するため、まずは以下の対策を試してみましょう。

<今すぐにできるクレンリネスの基本的な対策>

  • 従業員の手洗いを徹底する
  • 店内のいたるところを清掃する
  • 従業員の身だしなみに注意する
  • 食材などを整理整頓する
  • 決定した対策をマニュアル化して全職員に周知する

従業員の手洗いを徹底する

クレンリネスにおいてもっとも基本的な対策が手荒いです。出勤時だけでなく、以下のタイミングで手洗いをやり直すように徹底しましょう。

<手洗いが必要なタイミング>

  • 出勤時などの作業前
  • 食品を触った後
  • 異なるゾーンに移動した後
  • ゴミ出しをした後
  • トイレに行った後

手洗いには必ず石けんを使用し、指の間や爪、腕、肘までをしっかり洗うことが大切です。

店内のいたるところを清掃する

清掃は開店前と閉店後だけでなく、営業中も適度に行いましょう。とくに重点的に清掃すべきなのは以下の箇所です。

<重点的な清掃が必要な箇所>

  • 顧客が利用した後のテーブルや椅子
  • トイレ
  • 厨房

厨房は顧客から見えにくい位置にあるケースが多いですが、清掃を怠ると衛生環境が悪化して、食中毒や害虫が発生する原因になります。

従業員の身だしなみに注意する

従業員の身だしなみが不潔に見えると、店内のクレンリネスが十分だとしても顧客の信頼を得られない場合があります。頭髪や爪の長さに関するルールを決めたり、ユニフォームが汚れた場合は着替えるように徹底したりして対策しましょう。

食材などを整理整頓する

食材や備品を整理整頓すると、掃除がしやすくなるほか、無駄な動きも抑えられ作業効率が上がります。まずは必要な物と不要な物を選別して、不要な物はできる限り処分しましょう。

決定した対策をマニュアル化して全職員に周知する

上記の対策を決定した後はマニュアル化して、全職員に共有・周知します。マニュアルを簡素化して、従業員が見やすい場所に掲示するのもクレンリネスの周知に向けて効果的な対策です。掃除箇所などについては、チェックリストを用意すると、やり残しを防ぎやすくなります。

より適切にクレンリネスを実践する方法

より適切にクレンリネスを実践し、対策を強化するための方法は以下の3つです。これから店舗を作る場合や、改装を検討している場合は、以下のポイントを意識しながら内装工事を依頼しましょう。

<より適切にクレンリネスを実践する方法>

  • 内装に過剰な凹凸が出ないようにする
  • 照明をダウンライトに変更する
  • 害虫が発生しないように動線を整備する

内装に過剰な凹凸が出ないようにする

清掃箇所を減らすための対策として有効なのが、内装に過剰な凹凸を作らないことです。凹凸のある箇所にはゴミやほこりが溜まりやすく、掃除の手間が増えてしまいます。食器棚や冷蔵庫などの設備を天井に密着させて、隙間を作らないとうに対策するのも有効です。

照明をダウンライトに変更する

照明をダウンライトに変更すると、清潔な環境を保ちやすくなります。ペンダントライトのように凹凸があり複雑な形をした照明器具にはゴミやほこりが溜まりやすく、床やテーブル、食材の上などに落下する恐れがあるため、飲食店にはあまり適していません。

害虫が発生しないように動線を整備する

害虫問題は飲食店において大きな課題です。顧客がくつろいでいるスペースで害虫が発生すると、店舗の衛生環境に関する信頼度は大きく揺らぎます。食材を保管する箇所をまとめる、害虫が自由に巣を作れないように死角を排除するなど、動線の整備も重要なポイントです。

まとめ

飲食店におけるクレンリネスとは、店内を清潔で衛生的な状態に保つという意味です。クリンネスは食品衛生法により義務付けられているほか、顧客の来店率を高めるため、そして顧客とお店の安全を守るためにも大切な施策なので、実践と強化を心がけましょう。

FACE YOUでは、理想的なクレンリネスを実践するための内装デザインをご提案し、施工管理からアフターフォローまでを一貫して行います。お客様のご予算やご希望の納期に配慮し、衛生面におけるリスクを極限まで低下させる施策が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。