原状回復
2024年07月28日

店舗の原状回復の範囲はどこまで?よくあるトラブルの事例と対処法も解説

店舗の移転や撤退などで賃貸物件から退去するときは、店舗を借りたときの内装に戻す「原状回復」を行う必要があります。原状回復は住宅から退去するときにも必要となる工事ですが、店舗と住居では原状回復のルールが異なるため要注意です。

それでは、店舗の原状回復の範囲や費用相場はどのくらいなのでしょうか。この記事では、そんな疑問にお答えするとともに、店舗の原状回復でよくあるトラブルの例や、トラブルを未然に防ぐための対策について解説します。

店舗の原状回復の範囲とは

そもそも原状回復とは、賃貸借契約を結んで借りているテナントから退去するときに、内装や設備などを借りたときの状態に戻す工事のことです。テナントの利用によって劣化・破損した箇所は修理する必要があるほか、特約が設定される場合もあり、しばしばトラブルの原因になっています。

テナントと住居では原状回復のルールが異なる

原状回復は一般的な住宅でも必要な工事ですが、テナントと住居ではルールが異なります。

【原状回復のルール】

タイプ 原状回復のルール
テナント
  • 入居時と全く同じ状態に戻す必要がある
  • 経年劣化や破損も修理の対象になる
  • 新品状態で借りたものは新品にして返却する
  • 原状回復費用はすべて借主が負担する
住居
  • 経年劣化や通常摩耗の修繕は貸主が費用を負担する
  • たばこの焦げ跡など借主の過失で発生した破損は借主が費用を負担する

 このように、住居よりもテナントのほうが原状回復のルールは厳しいです。

店舗の退去時に必要となる原状回復の種類

店舗の退去時に請求される原状回復の種類を具体的に見てみましょう。

<店舗の退去時に必要となる原状回復の種類>

  • 内装の解体や撤去
  • 床や壁の張り替え、塗装
  • 天井の塗装
  • 照明の位置変更や菅球交換
  • エアコンクリーニング
  • 水回りのクリーニング
  • 配線撤去

店舗の原状回復の費用相場は坪単価3万円~30万円

店舗の原状回復にかかる費用相場は、坪単価3万円~30万円ほどと幅があります。小規模な店舗の場合は比較的安価に収まりますが、大規模な店舗や大手ディベロッパーが供給するテナントは、原状回復費用が高額です。

店舗の原状回復でよくあるトラブルの例

店舗の原状回復をめぐっては、借主とオーナーの間でしばしばトラブルが発生しています。具体的なトラブルの事例を5つ見ていきましょう。

<店舗の原状回復でよくあるトラブルの例>

  • 原状回復の費用をめぐってオーナーと対立する
  • 原状回復工事の時間帯でオーナーと意見が食い違う
  • 原状回復の範囲で双方の主張が異なる
  • 原状回復費用の請求が敷金・保証金と同額だった
  • 借主にとって理不尽な特約が設定されていた

原状回復の費用をめぐってオーナーと対立する

店舗の原状回復は範囲が広く、請求される金額が高額になりがちです。さらに、原状回復工事を手掛ける業者を選定するのは原則としてオーナー側のため、借主は「相場よりも金額が高いのではないか」「ぼったくられているのではないか」と不信感を持つケースが見られます。

原状回復工事の時間帯でオーナーと意見が食い違う

多くのテナントが入居しているビルの場合、日中は原状回復工事ができず、ビルの管理者やオーナーの都合で原状回復工事が深夜になる場合があります。しかし、夜間工事は昼間の工事と比較して基本料金が高いため、借主が「工事費用が安い昼間に工事をしてほしい」と主張し、トラブルになる事例も多いです。

原状回復の範囲で双方の主張が異なる

原状回復が必要な範囲をめぐって、借主とオーナーの意見が異なるのもよくある話です。たとえば「設備の交換」も原状回復の範囲に含まれるため、数ヶ月前に新調したばかりのエアコンを新品に交換するよう求められ、納得がいかずに揉めてしまうといった事例も少なくありません。

原状回復費用の請求が敷金・保証金と同額だった

原状回復費用には、入居時に支払った敷金が使われます。工事費用が敷金よりも高ければ借主に差額が請求され、反対に敷金が工事費用を上回る場合は、差額の敷金が借主に返金されることが基本です。

しかし、原状回復の費用として請求された金額が、敷金・保証金と同額、もしくは非常に近い金額だとしたらどうでしょうか。オーナーに悪意や不正がなかったとしても、借主は「敷金や保証金を返金したくないから工事費として計上している」と勘繰る場合が多く、これもトラブルの原因になります。

借主にとって理不尽な特約が設定されていた

店舗の原状回復費用として支払う標準的な請求に加えて、借主にとって理不尽に思えるような特約が設定されているケースも見られます。避けようのない事情により発生した原状回復も借主の費用負担で行うよう求められたとしても、賃貸借契約書の特約として明記されている以上、借主はそれに従わなければなりません。

店舗の原状回復をめぐるトラブルを防ぐための対策

先述したように、店舗の原状回復では、借主とオーナーが対立してしまいがちです。このようなトラブルを避けて、気持ちよくテナントから退去するための対策を3つご紹介します。

<店舗の原状回復をめぐるトラブルを防ぐための対策>

  • 借りる前に店舗の状態を確認する
  • 賃貸借契約書は特約も含めて細かくチェックする
  • 施工実績が豊富な内装業者に依頼する

借りる前に店舗の状態を確認する

賃貸借契約を結ぶ前に、実際に借りる前の物件に足を運んで、内装や外装、設備などの状態を確認しておきましょう。入居前の状態を確認すれば、退去時の破損が入居前に起きたものなのか、それとも退去後に起きたものなのかが分かります。

内見で傷や汚れ、破損などを確認した場合は、その箇所の写真や動画を撮影しておくことをおすすめします。客観的な証拠が残っていれば、借主の主張が認められる可能性が高いです。

賃貸借契約書は特約も含めて細かくチェックする

店舗の契約前に、不動産会社が作成した賃貸借契約書を必ず確認しましょう。原状回復は原則として、賃貸借契約の内容に沿って行われます。特約にも原状回復に関する取り決めが記載される場合があるため、特約も含めたチェックが必要です。

施工実績が豊富な内装業者に依頼する

入居時の内装工事は、実績が豊富な内装業者に依頼することもポイントです。経験豊富な業者を利用すると、入居前の傷や汚れを見落とさずに報告してくれるほか、将来的に原状回復がしやすいように配慮しながら工事をしてくれます。原状回復に関するトラブルを避けるためには、入居時から将来を見据えた対応をすることが重要です。

まとめ

店舗の原状回復の範囲は住居と比較して広く、退去時には高額な原状回復費用が請求されがちです。これが原因でトラブルに発展するケースも珍しくありません。入居の段階から内見で傷や汚れを確認したり、経験豊富な内装業者に依頼したりして対策しましょう。

FACE YOUは、内装工事・空間工事に特化した専門業者です。アフターフォローも充実させており、万一のトラブル発生時には責任を持って対応いたします。原状回復に関する不安をお抱えの方は、安心して当社にご相談ください。