VMDとは?重要な要素や成功させるポイント、業界別の導入事例などもご紹介
VMDは店舗の内装作りに関する考え方のひとつで、売りたい商品をより見やすくディスプレイする手法です。VMDに成功すると、販売スタッフが直接的に接客できない場所でも一定の売り上げを確保しやすくなり、売り上げアップを実現させられます。
VMDはアパレル業界が行う施策とのイメージが強いですが、それ以外のあらゆる業界でも活躍するため、小売業を営む企業にとって重要な戦略です。この記事ではVMDとはなにか解説し、重要な要素や成功させるポイント、3つの業界別に見た導入事例などもご紹介します。
VMDとはなにか
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは、アパレル業界などの小売店で用いられるマーケティング手法のひとつです。 直訳すると「視覚的な販売戦略」となり、顧客が利用しやすく、購入しやすい売り場を作ることがVMDの目的になります。
アパレル業界を例に出すと、自社の衣服をマネキンに着させてディスプレイするのもVMDの一種です。VMDの解釈は広く、店舗の内装を変更したり、店舗のイメージに合う什器をそろえたり、販売スタッフにトレーニングをしたりといったこともVMDに含まれます。
VMDはあらゆる業界で活躍する
VMDが活躍する業界の一例をリストアップしました。
<VMDが活躍する業界>
- アパレル
- スーパーマーケット
- 書店
- インテリアショップ
- 化粧品店
- カーディーラー など
その他にも、小売業であればジャンルを問わずにVMDが活躍する可能性が高いです。VMDにより顧客が店舗に滞在する時間を延ばしやすくなるため、売り上げアップを実現しやすくなります。
VMDとDPの違い
VMDとよく似た言葉にDP(ディスプレイ)がありますが、この2つは明確に異なります。DPとは、商品の陳列や装飾そのものを指す言葉です。一方のVMDは、顧客が商品を見やすく、探しやすい店舗作りを指しており、DP以上の工夫や専門的な戦略が求められます。
VMDで重要な要素は3種類
VMDは大きく3つの要素で構成されています。それぞれを適切に実行することが顧客が利用しやすい空間作りにつながるため、それぞれの要素を確認しておきましょう。
<VMDで重要な3つの要素>
- VP(ビジュアルプレゼンテーション)
- PP(ポイントオブセールスプレゼンテーション)
- IP(アイテムプレゼンテーション)
VP(ビジュアルプレゼンテーション)
VPは、ブランドのイメージやコンセプトを表現する売り場そのものを指す言葉です。顧客の興味を引き出し、来店してもらうきっかけを作ることがVPの目的になります。店舗の第一印象を決める重要な要素であり、主に店舗の入口周辺や、ショーウインドウで展開するVMDです。
PP(ポイントオブセールスプレゼンテーション)
PPは、顧客が店舗内に滞在する時間を延ばすための施策です。アパレルで例えると、マネキンを使っておすすめの商品をアピールするなどの方法がPPに該当します。顧客の目に入りやすい場所で行うと効果的であり、入口付近やレジの近く、店舗の中央、目線の高さの壁などで実施すると有効です。
IP(アイテムプレゼンテーション)
IPは、アイテムやデザイン、サイズなどで商品を分類し、顧客が欲しい商品を見つけやすくする施策です。顧客が店内の商品を比較しやすいように、類似商品を近くに並べるなどの施策もIPに含まれます。VPで入店率を高め、PPで滞在時間を延ばし、IPで購買につなげるのがVMDの基本です。
【業界別】VMDの導入事例
ここまでVMDの基本をご紹介しましたが、企業は実際にどのような形でVMDを導入しているのでしょうか。アパレル、スーパー、書店と3つの業種に分けて、導入事例をご紹介します。
<【業界別】VMDの導入事例>
- アパレル:売り出したい商品の特徴を押し出すディスプレイを実施
- スーパー:購買意欲をかき立てる装飾
- 書店:売り場が分かりやすいようにポップを設置
アパレル:売り出したい商品の特徴を押し出すディスプレイを実施
アパレル店Aでは、シャツやパンツなどのアイテム別にハンガーにかけた状態で陳列していました。クローゼットに洋服をかけているのと同様の状態のため、色の違いを見分けやすい一方で、手にとらなければデザインや形状が分かりません。そこで実施したVMDは次の2つです。
<アパレル店Aが実施したVMD>
- 注目を集めたい商品は正面に向けてディスプレイする
- 一部の商品は上下セットでコーディネートして売り場周辺に飾る
このVMDにより、顧客は商品のデザインを正面から確認できるようになり、着用後の姿もイメージしやすくなっています。
スーパー:購買意欲をかき立てる装飾
スーパーマーケットBの課題は、コロナ以降の潮流と経営戦略上の事情により節電を余儀なくされ、商品が新鮮に見えにくいことでした。そこで実施したVMDが次の2点です。
<スーパーマーケットBが実施したVMD>
- 野菜や果物の売り場にスポットライトを設置して色鮮やかに見せる
- 果物を吊り下げて陳列し木に実っているように演出する
店舗全体の照明を落としながらも、ピンポイントで照明を当てることにより課題を解決しています。個性的な果物の陳列は、遠くから売り場を見つけやすくする効果に加えて、SNSで話題になるなどの効果も得られました。
書店:売り場が分かりやすいようにポップを設置
書店Cでは、新書コーナーを設けていたにも関わらず、顧客から新刊の設置場所を質問される機会が多いことが課題でした。そこで実施したVMDが次の2つです。
<書店Cが実施したVMD>
- 新刊コーナーのポップを設置する
- 問い合わせが多い商品を中央に配置する
「新刊コーナー」と書かれた大きなポップを配置することにより、売り場の視認性を高めています。また、問い合わせの多い商品をもっとも目に付きやすい中央に平積みして、遠くからでも目的の本が見つかりやすいようにも工夫しています。
VMDを成功させるための3つのポイント
VMDを成功させるために、重要なポイントを3つご紹介します。
<VMDを成功させるための3つのポイント>
- ディスプレイの4原則を意識する
- 企業の独自性を表現する
- ソーシャルディスタンスを確保する
ディスプレイの4原則を意識する
商品を美しくディスプレイするための4原則は、次のとおりです。
<ディスプレイの4原則>
- フォーマルさを意識する場合は左右対称に陳列する
- ユニークさを意識する場合は左右非対称に陳列する
- 背の高い商品を真ん中に置く三角構成を重視する
- 規則性のあるディスプレイでリピート構成を作る
これらのセオリーを取り入れることで、より魅力的な売り場に仕上がります。
企業の独自性を表現する
企業の特徴や強みを売り場に反映させることもVMDにおいて重要です。たとえば創業から長い歴史を持つ場合は、木材を多用した伝統的な内装にリフォームすると、ブランディングにも成功しやすいでしょう。
ソーシャルディスタンスを確保する
コロナ禍により「選ばれる店」と「避けられる店」が二極化されつつあります。顧客に安心して来店・滞在してもらうためには、ソーシャルディスタンスを確保することも重要です。通路を広くとるなどの対策を行い、密集しにくい空間作りを意識しましょう。
まとめ
VMDとは、小売店において用いられるマーケティング戦略のひとつです。顧客にとって利用しやすく、滞在しやすい空間を提供することにより、来店率や滞在時間を高めて売り上げアップを実現させられます。
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